ЗОРКИЙ  Zorki
旧ソ連製のカメラです。マニアならばともかくご存知の方は少数かと思います。
Leica IIのコピー機?・・・?
軍艦部に機名がプレスされてます。筆記体のキリル語です。活字体にすると「ЗОРКИЙ」です。
このカメラは5タイプありまして「Zorki」とラテン文字併記の機もあります。
発音は判りませんが日本では「ゾルキー」と呼ぶのが一般的です。
「目敏い、洞察力のある、注意深い」と言う意味だそうです。
その下にある富士山と矢印を組み合わせたようなマークは製作したKMZのもののようです。
「ЗОРКИЙ」は 1948年(昭和23年)〜1972年(昭和47年)まで10を超えるモデルがあります。
この個体は初期モデルでI型(たぶん後継機が出てからの分類上の名)です。
資料によるとI型はA〜Eまでの5タイプが存在するようです。
この個体がどれかと言うと・・・。
シャッター釦にケーブルレリーズ用のネジ穴が切られていることからTypeAではありません。
アクセサリーシューに彫られているのは矢印のみですこのことからTypeBでもありません。
※AとBは矢印部分に [  ] のような模様?があります。
Type CとDは酷似しているそうです。
機名がDからは彫り込みからプレスとなったそうなのでTypeCではありません。
レンズ周りの矢印部分です。他のTypeは革がマウント周りまで貼られてます。
と言うことでこの個体は1954〜1956に製造されたTypeEと断定して良さそうです。
この個体にはプラスチックキャプが付属してました。が、たぶんこれは当時の純正の物では無さそうです。
付属していた金属キャップを紛失してたぶん相当後の製品をとりあえず付けたものと思われます。
このカメラのレンズは沈胴式です。
引き出して正面から視て時計回りにレンズを回転させるとロックされます。
レンズは ИНДУСТАР-22 (ラテン文字だとINDUSTAR) 5cm F3.5〜f16
A 絞りリング ギザギザのついたリングのみが回転する。
  外側の絞り目盛りに▲の指標を合わせる。非常に扱い辛い。
B 距離環用レバー。レンズをロック後、同心円の釦をボディ側に押すとヘリコイドのロックが外れる。
  以後はレバー操作が可。回転ヘリコイド

C 距離目盛。動かない。▲マークを合わせる(後ほど詳しく)

D 巻き上げノブ 上から視て時計回り。

E カウンター順算式 手動設定

F ファインダー

G シャッター速度環 巻き上げに連動して回転する。速度設定は巻き上げ後必須。
  (故障する可能背うがある) 

H シャッター釦 巻き上げると外側が判時計回りに回転する。

I 巻き戻しレバー

JK 距離測距窓 (女子高生ではありません)

L 巻き戻しノブ
A 回転ヘリコイド ▲ を外側の目盛りに合わせる ▼ の方が良さそうだが。
  両脇に被写界深度目盛りがある。
B 巻き戻しレバー B の文字からバルブかと思ったが機名の三文字目のRに相当するようです。
C カウンター 巻き上げノブと一緒に回転する。フィルム装填後、空送りをする。
  シャッターを押す前に0を矢印に合わせる。シャッター釦を押し巻き上げると1進んでいる。
D シャッター速度環 巻き上げると反時計回りに回転する。速度を合わせるのは巻き上げ後が必須
  シャッター釦を押すと時計回りに回転する。
  B(Z) 1/20 1/30 1/40 1/60 1/100 1/200 1/500  
背面はすっきりしている。□にシリアル番号633977。

後に上二桁が西暦の下二桁を表すようになるがこの機ではまだそうなってはいない。

したがって63とあっても1963年製ではない。

矢印の丸窓。ファインダー。焦点距離5cmの視野枠、ブライトフレームは無い。

もう一つの丸窓は視野中央が拡大されて二重像合致式の距離計となっている。
大きさを他のカメラと比較してみます。
最初に手に取ったときに「Pen FT とほぼ同じサイズだな」と思いました。
並べてみると幅は若干ЗОРКИЙの方があります。
高さはほぼ一緒です。
厚みはPen FTの方がほんの僅かあります。
 ついでに Nikon Fとも
流石に135SLRと比べればかなり小型です。
 レンズマウントはL39 スクリューマウントです。
プラクチカのM42と比べると径が僅かに小さいです。
底部には開閉キーと三脚穴のみです。
裏蓋(蓋と言う表現はたぶんこの時代には無かったと思います)は開きません。
底蓋だけが外れます。
 カメラの右側、巻き取り用のスプールが入ってます。
フィルム装填編です。 ※半世紀も前の話です。

就学旅行で京都へ行きました。新京極を歩いておりましたら古書店がありました。

そこで戦前に発売された古書、ライカの初期型の解説本を見つけました。当然購入いたしました。
書籍のタイトルは失念。(捜せば出て来るはず。また段ボール箱をチェックする必要があります)
ライカA型(1925年・大正14年)〜数機の解説。そしてフィルムの装填方法がありました。
当時はパトローネはまだありませんでした。(パトローネは1934年/Agfa)
35mm映画フィルムを流用したのですからたぶん切りっぱなしの状態であったかと。
そのフィルムをカメラに装填するにはいくつかの儀式がありました。
A型ライカにはリーダー部を加工するためにガイド板が付属されていたと思います。
上の写真で判ると思います。金属板に挟んでカッターでリーダー部を作ります。
ネット検索しましたら売ってました。もちろん純正ではありません。UN製で¥6,050
需要があるのですね。ちなみにЗОРКИЙはこの加工をしなくてもフィルム装填は可能でした。
すでにパトローネが出来てから10年以上、当然でしょう。
スプールにリーダー部先端を差し込みます。乳剤面を外側に巻き込みます。
※このフィルムは練習用です。何度も使用しているうちにリーダー部が傷んできたので切りおとし
新たに鋏でリーダー部を作ったもの。この程度の加工レベルで大丈夫です。
A  撮影時 巻き上げ可
B レバー移動中
C 巻き戻しに設定 Bのように視えるが筆記体のキリル文字のR(リバース)らしいです。
巻き戻しレバーがCの位置にあることを確認してください。
上のように押し込みます。スプロール部は弛みを取りながら慎重に。

※撮影の為にカメラを置きましたらスプロール部に弛みが、この状態で押し込むとまず失敗いたします。

底蓋を閉めましたら巻き戻しレバーを戻し撮影可能状態にします。
数駒巻き上げてカウンターを設定します。
巻き上げてから、レンズを外し、シャッター速度をZ(バルブ)。シャッターを切ると・・・失敗です。
慣れないとしばしばこのようになるらしいです。
そんな時には・・・某サイトでは「指先を突っ込んでフィルムをずらす」
とありましたがちょっと乱暴な気が。
別のサイトではテレホンカードを用いると良いとありました。
テレホンカードが無い場合はQUOカードでも可能です。
要するに薄くて腰の強いものならばOKです。
すんなりとは入ってくれませんでした。左右にスライドさせながら差し込むと良さそうでした。
テレホンカードと裏蓋(一体となっているので裏蓋とは当時表現しなかったと思いますが)との間にフィルムを差し込みます。

パトローネとスプールを完全に押し込み、カードを抜いて底蓋を閉じます。

一齣無駄にしてもチェックした方が良いかもしれません。
きちんとした手順を踏んで装填しないとこんな状態になります。
※最初から数回試行錯誤しながら装填を繰り返しました結果です。
フォロワーの方から
「ゾルキーの撮影後、インダスターをニコンに装着して撮影。フイルムとデジタルの撮り比べは如何ですか。」と言うmailを頂きました。
考えなかった訳では無いのですが問題がいろいろありまして。
一眼レフはミラーボックスがあるためマウント面からフィルムまでの距離が長いのです。
とりわけNikonは最も長い?フランジバックを持つカメラです。
※フランジバックとはレンズ交換式のカメラにおいて、マウント面から、フィルムあるいは撮像素子までの距離のこと。
つまりフランジバックの短いレンズをNikonに装着するとレンズを繰り出した状態となり近接撮影しかできません。無限遠が出ないのです。
※マウントアダプターが販売されてますがNikkorを他社のカメラに着ける物は数多くありますがその逆はありません。
有ったとしても近接撮影のみと断りが入っているか補助レンズで無理やり無限遠を出してます。
とりあえずどの程度の近接撮影となるか調べてみます。
Nikonのボディキャップです。だいぶ以前に加工した物が先日見つかりましたのでそれに手を加えることにいたしました。
矢印の長さがほぼ40mmでしたので内側をそっくり糸鋸で切りました。

見出しの写真はそれをNikonFに装着、ЗОРКИЙのレンズを置いた物です。(固定はできません)

手で支えてファインダーを覗くと数10cmのところで焦点を結びました。かなりの弩アップです。

レンズが沈胴式なのでミラーに緩衝しない程度に押し込んでみると1mくらいまでは離れられました。

・・・ここまで検証したのでとりあえず装着できるか考えてみました。

マウントアダプターを購入するのが一番手っ取り早いのですが・・・

なかなか見つかりませんでした。そもそもフランジバックの短いカメラ用のレンズをフランジバックの長いカメラに装着することの需要はまずありませんから。

・・・さんざんさがして漸く見つけたのがL39→NikonFマウントアダプター(接写専用)¥3,000ほど。

手持ちのパーツを組み合わせて同等の物を作ろうと考えました。

まずはBR2Aリング(BR2は50年以上前から存在。Aになって取付角度が1〜3になった。基本性能は一緒)

NikonFマウントと52mm雄ネジを組み合わせた物。装着したのが右。
レンズが逆向きに取り付けられます。
超近接撮影が可能となります。
今回はレンズを逆向きに取り付ける必要はありませんので早々に次へ。
BR2は雄ネジです。レンズを逆向きに取り付けるのでは無いのでこのままですと不都合が。

中の黒い二つのリングは 雄+雄 と 雌+雌 の52mmのセットです。

雌+雌をBR2に装着すると雄ネジが取付可能となります。

ステップアップリングと言うアダプターがあります。

もともと大口径のフィルターを小口径のレンズに装着するための物でした。

例えばNikkor60mm(フィルター径62mm)用に購入したフィルターを50mm(フィルター径52mm)に使用できるという物です。

それから何年かしてステップダウンリングという物が出現。ステップアップリングと逆のことができるようになりました。

左からステップアップリング裏表・ステップダウンリング裏表・Nikkor60mm(フィルター径62mm)・ステップダウンリング装着・52mmフィルター装着

こんな具合です。しかし通常こういう使い方はいたしません。ケラレが生じる場合が多々あります。

52mmをこの手順で39mmまで落とせばL39レンズの装着が可能となります。

52→39のステップダウンリングを捜したら数百円で購入可能です。
・・・・・・

その旨はフォロワーにmailで伝えてました。

返信が来ました。なんとアダプターを所持しているとのこと。
+ L39レンズも持ち合わせているとのことです。

それが到着いたしましたらD700(135フォーマット)に装着、撮影してみます。

その後ЗОРКИЙにフィルムを装填。計三本のレンズで実写してみます。