Agfa KARAT IV
1954年(昭和29年)ドイツ製です。 「カラット」とではなく「カラート」の方が音が近いそうです。
KARATは実にたくさんのモデルがあります。初代フォールディング「KARAT」は1937年(昭和12年)とても書ききれないので省略いたします。
当機はパトローネフィルムが使用できるタイプで最終モデルです。
以前は専用のマガジンを必要としました。
余談ですが私にとっての「AGFA」はフィルムが初めてでした。
今から50年以上前、まだ国産のASA400が無かったころkodakのTri-XとAgfa Gevaert Isopan Ultra Isu で撮り比べたことがありました。たぶんネガが残っているはずなのですが・・・。
 
閑話休題
当機はフォールディングカメラです。折りたたみ式でレンズが収納時は引っ込みます。

(折りたたみ式でもバネの力で自動的に立ち上がるものはスプリングカメラと呼んで区別いたします。 

当機は勢いよくレンズ部が飛び出しはいたしませんが自動的に立ち上がります。
ではスプリングカメラにすべきかとも考えましたがドイツのサイトにはフォールディングカメラとありましたので・・・)
 
A を押すとレンズ部がゆっくり伸びだします。収納時にはAを押しながらレンズ部を押し込みます。
B シンクロ切替レバー
A 絞りレバー aの▼指標が動く

B 捲き上げレバー

C シンクロソケット

D レンズ部伸縮釦

E シャッター速度環

F 距離調節レバー

G シャッター釦

H 捲き戻しノブ
A 絞り調節用レバー aの指標が動く

B シャッター速度環 bの▲が指標  B・1・2・5・10・25・50・100・300

C レンズ Solinar 50mm F2.8  他にも Solagon 50/2.0 ・ Xenon 50*/2.0 ・ 
  Apotar 50/3.5が付いている機が確認されている。

D 蛇腹

E たすき 

F 距離調節用レバー fの環と繋がっている。fとBの間の黒い部分に雄ネジが切られている。
  距離環(雌ネジ)が固定された雄ネジを回転しながら前後移動して距離調節をしている。
A 絞り値表示、固定されている ▼の隣の▲がレバーで動いて絞り値を指す 

a 被写界深度

B 捲きあげレバー 親指で捲き上げるタイプとは逆方向に動かす。
  カメラを構えたまま右手人差し指で操作すればさほど使い難もない。

C カウンター 自動復元はしない cを廻して手動設定

D シャッター釦

E 捲き戻しノブ eはASA感度記憶用だが変更方法が分からない。抓みの類が無い。
  露光計が付いて無いので不要とも思えるが
F 距離環 feet表示 無限遠は ∞ ではなく INF となっている。
 
※ドイツのサイトの解説記事を翻訳ソフトを介して参考にしているのでけっこう時間がかかります。
フォールディング状態と撮影状態(レンズキャップが着いてますが)
底部は捲き戻し釦(押し続ける必要があります)
と、三脚穴、中央に無いのが残念(コンパクト化の為でしょうが)
穴の縁がほんの僅かですが底より突き出てます。これも少々残念。
背部はすっきりしております。中央下部の 「MADE IN GERMANY」 のエンボスが誇らしげです。
ファインダーを覗くと二重像合致式の黄色〇 ブライトフレームはありません。

開くとAgfaフィルムのシール 菱形のロゴと Agfa color Isopan の文字

(小西六もシールが貼ってありました)
捲き戻しノブは二段階に引き上げられる。

径が大きいのでそのままでも捲き戻しが可能だが一段引き上げると操作が楽になる。

さらに引き上げてフィルムの装填・取り出しをする。

このカメラは通常の135フィルムカメラ↑とはちょっと異なってます。
捲き取り軸と撮像枠の間にギヤ付きの軸(スプロケット)がありません。
二枚の写真を見比べてください。
それ故にKARATの横幅が抑えられております。
写真の  部分に その機能があります。
フィルムを装填するときは、まずその金具をおこします。
忘れるとパーフォレーションが台無しになります。また平面性も保てないでしょう。
 SAMOCA 35III も上下の違いはありますが似たように配置されてます。
フィルムを装填します。 
捲き取り軸のスリットにリーダー部を差し込みます。
→ の部分に爪があります。パーフォレーションをそれに引っ掛けます。
少々捲き上げてスプロケット部分を元に戻します。
裏蓋を閉めて完了です。
さて、いざ実写と言いたいところですが、この機はシャッターが開きません。
正面から視ると時々シャッター羽根が動くのですが開くまでに至りません。
1 経年変化でオイルが固まって羽根が動かない。 陽のあたる窓際(ガラス越し)に数時間置きましtが変化はありませんでした。
2 そもそもチャージされていない。捲き上げるとシャッター釦は押せます。続けては押せません。シャッター釦を押さないと次の捲き上げは出来ない。
3 シャッター釦からシャッターまでのリンクが途切れている。

 そんなところかと想います。

 あらためて細部をチェックいたします。

A 最短距離

B 無限遠▲がINFを指している。

C レンズの移動に合わせて前後する。たぶんレンズ鏡筒に固定されている。

D Cにリンクされて動く。距離計と連動させているものと思う。

E 捲き上げると回転する。シャッターチャージを行っていると思う。

F 焦点調節レバー

捲き上げてからシャッター釦を押すと A・Bが一緒に下がる。
しかし残念なことにシャッター羽根は動かない。
蛇腹カメラは捲き上げレバーとシャッターチャージとの連携が難しくこれがトラブルの原因です。
70年近く経ってますので仕方が無いのかもしれません。
当機よりも古い「ikonta520」が撮影できたのに残念です。
見た目は非常に綺麗なカメラなのですが。
修理依頼をするよりも書棚にさりげなく置く方が宜しいかもしれません。
その段は・・・ゲーテ集でしょうか。