面子、ペタン、ベッタン

 

 房総の私の町では「ペタン」と呼ばれてました。
「面子」は直径2cm程度の小さい物で10枚くらいが積み重なって蝋で固めてあったものを指しました。
これは拇と人差し指ではさんで指先を閉じることで飛ばして遊びました。
さて本題のめんこ=ペタンですが円形の丸面と矩形の角面とがありました。
丸面は直径数cmのものから20cmを超えるものまで大きさはいろいろでした。
角面は私の知る限りでは二種類でした。
薄手で小ぶりのもの、厚手(5mmくらい)で名刺より一回り大きいものと。
私の地方では角面は不人気でした。理由は至極簡単です。場に適していなかったからです。
勝負には向かなかったのです。
私が想うに角面は別な遊び方をするために考案されたのではないかと......。
丸面と角面の大きな違いは形だけではありません。その裏側です。
丸面は裏面に印刷を施したものはありませんでした。
しかし角面はグー、チョキ、パーのいずれかとトランプの一枚が必ず印刷されていました。
相手の札に叩きつけて遊ぶものでは無いように想えます。
小角面の変形バージョンに力士型があったことや厚手の角面にメタリック仕様のものがあったことでも
コレクション用やテーブルゲーム用に作られたのではないかと想えます。

 
私の町では勝負には二種類あって「ほんこ」と「じゃれ」と呼び分けていました。
「ほんこ」は勝ったら相手のものを自分の物に出来る。負けると取られる。真剣勝負です。
「じゃれ」は勝負が終われば勝ても負けても元の持ち主に返しました。
上級生と下級生など実力差があるときはほとんどが「じゃれ」でした。
 

 まず砂で場を作ります。
 直径は1mくらい高さは10cmくらいです。
(室内の場合は座布団が場になります)
 参加者は任意の一枚を場に置きます。
ルール(地方によって様々なルールがあるとは思いますが)
じゃんけんで勝った者から順に番が回ってきます。
自分の「ぺたん」で他をひっくり返すと勝ち、場から他を出しても勝ち。勝てば続行できます。
場から自分の「ペタン」が出ると「ため」と言って懸賞としてストックされ次の勝者の物となります。
自分の物と他の物と複数が場から出ると両方とも「ため」、
他をひっくり返して自分が場から出た場合も両方「ため」です。
この「ため」が勝負を面白くしていました。
負けたときと「ため」の場合は場に一枚出します。
常に場には番以外の者と同数があるわけです。
場に置くときはそれなりの工夫をしました。ひっくり返されにくい置き方。
あるは番手のミスを誘う置き方(端の方に置き番手を「ため」にさせる)など。
誰がいつ考えたか知りませんが、いまでももよく出来たルールだと思います。
※フラットな台、テーブル上で勝負をするときは厚手角面同士の方が面白かった用に想えます。
ひっくり返すよりも弾き出しやすかったからです。
 
改造(改良)も当時流行でした。
一番簡単な改造は二枚以上を糊で貼り合わせて重量をだして強くすることでした。
しかし重ねすぎるとひっくり返されやすくなりました。特に場が固い地面などでは。
空き缶の蓋に「ペタン」を入れて縁を金槌で叩いてつぶし補強+重量アップを謀ったものは
「トタンバッキン」と呼ばれていました。通常の「ほんこ」には加われませんでしたが....。
「トタンバッキン」オンリーの勝負が時々ありました。
 

三遊亭とん楽さん提供のめんこ
 

コバヤシフーズさん提供